地域の3分の2以上が海面以下である亀田郷において、排水対策は重要な役割を担っています。全郷で統一的な機械排水が始まったのは昭和23年に完成した栗ノ木排水機場からです。その後、国・県営の幹線水路工事と、同時に農家の総出で耕地整理事業が進められた結果、昭和30年代半ばには亀田郷の乾田化はほぼ達成され、今日の農業生産と都市的発展の礎となりました。昭和39年の新潟地震で壊滅的な打撃を受けた栗ノ木排水機場に代わり、昭和43年には親松排水機場が運転を開始し、今日まで亀田郷地域の農業と市民生活の安全を担っています。
 しかし、完成以来40年近くが経過し、老朽化や地盤沈下により排水機能を維持することが困難になってきました。
 そのため、平成14年度から国営かんがい排水事業により親松排水機場を更新することとなりました。工事は順調に進捗しており、平成17年度には建屋が慨成、18年2月にはポンプの据付が始まりました。今年度中にはポンプの据付のほか、取付水路、除塵機等の関連施設の工事を進め、平成19年の春には共用開始を予定しています。
 折しも来春は、新潟市の政令指定都市への移行が予定されています。食と花の都、田園型政令指定都市を目指す新潟市にあって、亀田郷農業は、稲作と多様な農産物を中心にした都市近郊型農業という特色を持っています。特にホワイト阿賀、十全なす、女池菜といった新潟市園芸銘産品をはじめ、梅、長芋、梨など、バラエティに富んだ農業生産を推進することと併せて、水辺環境の再生にも鳥屋野潟の水位を一定に管理するなど、高度な排水対策が欠かせません。
 新しい親松排水機場には、亀田郷の大地に刻まれた歴史を後世に伝えながら、新たな役割を担っていく期待が寄せられています。

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