水鳥飛び交う田園型都市を目指して
−田園型都市における生物多様性回復のためのネットワーク形成研究会−

 大型合併が進行中の新潟市は都市周辺部に隣接する広大な水田や森林の管理に多くの課題を抱えています。中でも全水田の約3割におよぶ休耕田の管理は大きな問題になる可能性があります。
 このような課題を踏まえ、新潟平野の休耕田と河川・水路・里山の間で生物が移動可能なネットワークを形成するとともに、休耕田を利用した疑似湿地の創出を目指して、具体的な水田管理指針作成のための研究会が設置されました。
 この研究会は新潟大学副学長の伊藤忠雄教授を中心に学部を超越したプロジェクトチームに、北陸農政局、新潟市、亀田郷土地改良区が参加しています。この6月29日には第1回の会合が行われ、関連する話題と疑似湿地の候補地について意見交換が行われました。
 新潟平野はかつて芦沼と呼ばれる大湿地帯でした。休耕田を湿地化して管理することによって、多様な水生生物の回復だけでなく、都市のヒートアイランド現象を軽減し、都市型豪雨の被害回避にも有効であるなど、多面的な効果が期待できます。
 また、疑似湿地は容易に復田が可能であることから、国家的な食料戦略の視点からは、備蓄農地としての意義もあります。新潟市のような大きな都市における大規模な自然復元は世界でも希な試みとなります。ただし、周辺農地への影響や用排水の確保、地域の理解など検討すべき課題も残されています。
 研究会では今後、平成19年度までの3カ年で、制度の検討、素案の作成、懇談会等で意見聴取、制度の条例化を進めることとしています。
 創出された疑似湿地で、生き物を探す子供たちが遊び、様々な水鳥が都市周辺を群れ飛ぶ共生景観が期待されます。

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