農地・水・環境保全向上対策

わが国の農業は、農業者の減少・高齢化が進む一方、WTO農業交渉など国際化への対応や食料自給率の向上が求められています。このような農業を取り巻く情勢の変化をふまえ、農林水産省は経営所得安定対策大綱を策定し、担い手農家の経営安定対策を図る品目横断的経営安定対策と、環境保全を重視し農地や農業用水を保全する資源保全施策の導入を打ち出しています。この新しい施策についてご紹介します。


農地・水・環境保全向上対策とは

(1)農地・水・環境保全向上対策のねらい

農地・農業用水等の保全管理体制は、これまでは地域共同の取組により維持されてきましたが、過疎化・高齢化等に伴う集落機能の脆弱化、都市化・混住化等に伴う地域共同活動への参加人数の減少、農地や水路へのゴミ投棄など保全管理上の課題の増大で崩壊の危機に瀕しています。食料の安定供給を図るため優良農地や水利施設を適切に確保する必要があり、また国民的要請が高まっている農村の自然や景観の維持・形成に対して、その基礎となる農地・農業用水等の健全な保全管理が不可欠となっています。このため国民共有の財産である農地・農業用水等の資源を良好な状態で次世代に継承するための施策が必要となっています。

(2)農地・水・環境保全向上対策のイメージ

一定のまとまりのある地域を対象に、農業者やその他の地域住民を中心とし、JAや土地改良区等の関係団体を含め、地域が一体となって資源や農村環境の保全活動に取組む仕組みに、NPOや都市住民の参画を求め、農地・農業用水等の資源保全と併せ、生態系、景観、国土保全など新たな社会的要請に応える仕組みで、地域社会全体への貢献や農村振興の観点から見た「効果の高い取組」を誘導し、バラマキとならない制度設計を検討します。

亀田郷管内での取組

活動状況 海老ヶ瀬地区
(ミズアオイ水路草取り)
意見交換会(H19.7.31)

亀田郷管内では平成18年度、海老ヶ瀬地区においてこの対策の実験事業が行われました。絶滅危惧植物ミズアオイの保全活動や、地区内の共同清掃を通じて、農家に限らず地域の多くの方が集い、地域を知り活性化するよい機会となりました。
 昨年の秋以来、郷内各地域で検討を重ね、平成19年度より12地区でこの対策を実施することとなり、組織づくり、そして4月から共同活動を開始しました。さらにそのうち4地区では環境に優しい営農活動にも取組を始めています。平成19年7月31日には、12地区の活動組織の代表の方々と行政機関等の関係者が一堂に会し、意見交換会を開催しました。計画づくりや共同活動を通じて、子供会や老人会、女性の集いとのふれ合いの機会も増え、集落のまとまりの力が向上しつつあるといった、力強いご意見もうかがえました。
 この対策は、行政・農協・土地改良区等ばかりで実施できるものではなく、あくまで地域の皆さんの活動が主体となります。農村環境の向上に向けて、農家・非農家を問わず多くの方から、積極的に活動に参加していだだきたいと願っております。